目次
シナリオのゲーム性について
シナリオのゲーム性とは
ここでは自分なりに考えた「シナリオのゲーム性」について、その説明と具体例を挙げさせていただきます。
クトゥルフ神話TRPGは探索と発狂のロールプレイングゲームです。「事件・事象があって、それを探索・究明し、解決する」という一連の流れを楽しむ物ですが、そこにちょっとしたエッセンスを加えて「謎解きゲームとしてより面白い物に昇華させよう」という、そのエッセンスのことを”ゲーム性”と呼んでいます。個人的には、ゲーム性の高いシナリオほど人気があるな、と感じています。
シナリオのゲーム性の具体例
下記は、シナリオのゲーム性の具体例です。シナリオを彩るエッセンスとして参考にしてみてください。また、自分なりのゲーム性について、是非考えてみてください。
①場所の特定(移動に関するヒント)
「○○の居場所が分からない」「○○が何所にあるか分からない」「ここが何所だかわからない」という状態から、少量の情報を元にその場所を特定し、そこを探索する…。クトゥルフ神話TRPGの主流と言える”ゲーム性”です。
例えば、現場に落ちた遺留品から、「○○の花粉を発見する」としましょう。探索者がそれに重要な手がかりがあることに気が付き、その花について詳しく調べると「その花は市街には一か所しか自生していない」ことが分かり、その遺留品の持ち主が、かつて訪れていた場所が推測出来る…。このような謎解きは、シナリオをシナリオらしくする、大切な要素と言えるでしょう。
②脅威との戦闘(戦闘に関するヒント)
圧倒的な脅威を前にして、知恵を絞ってそれに打ち勝つ。クトゥルフ神話TRPGは戦闘に消極的なTRPGですが、”敵”によってはこうしたゲーム性を取り入れているシナリオが数多く存在します。
探索によって、これから立ち向かおうとする脅威について調査し、様々な情報を組み合わせてその脅威の弱点に気が付く。このような謎解きは、推理ゲームとして成立するでしょう。
③ギリギリの戦闘
一進一退、紙一重のハラハラするような戦闘は気分が高揚するものです。自分のダイスロールがその戦闘の明暗を分ける場面など、緊張も一入でしょう。これは謎解きとは言い難いですが、プレイヤーには的確な状況判断などが求められ、立派なゲーム性として成り立ちます。
このような演出をする時には、ゲームバランスが重要となります。シナリオに参加する探索者達の力量と、敵の能力を比較して、一進一退の攻防となるよう、調節するとよいでしょう。ただ、戦闘に運の要素が多分に絡むCoCでは、ゲームバランスの調整は中々に厄介です。
④暗号や謎図形の解読
暗号や謎図形にワクワクする人は多いのではないでしょうか。「誰かのパソコンのパスワードを、その人の特性から推察する」「バラバラでは意味を成さない言葉の羅列を並びを替えて意味を通す」などはパズルやクイズのようなゲームと成り得ます。シナリオ中に取り入れやすいゲーム性ですので、シナリオ中のアクセントとしても有用です。上杉暗号やシーザー暗号など、世界には様々な暗号がありますので、参考にしてみると面白いかもしれません。
⑤カーチェイス
クトゥルフ神話 TRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)P.328に記載されています。これはシナリオ全体のゲーム性というより、ミニゲームに近しいです。単純な双六ゲームの一種として、シナリオ中に取り入れても面白いかと思います。シナリオ中のアクセントとして有用です。
⑥選択肢・究極の選択
複数の選択肢から1つだけの正解を選ばなくてはならない時、回答に自信があっても少しドキドキしたりします。これは選択肢クイズのようなゲームとして、シナリオのゲーム性と成り得ます。探索者には探索や知識をもってして、正しい道を切り開いてもらいましょう。
ところで、どちらも正しい選択は探索者を非常に迷わせます。そのような二者択一での決断がその後の物語に大きく影響を与える場合、プレイヤーはどちらが最良最適の回答なのか、頭を悩ませるでしょう。これは推理ゲームのような要素を含み、これもまた、シナリオのゲーム性として取り入れられるでしょう。
⑦罠の回避、窮地からの生還
沢山の罠が仕掛けられた洞窟を抜けなければならない場合、探索者はそこを注意深く進むことでしょう。危険な罠を回避したり、時々ダメージを受けてしまったりして、何とかその洞窟を抜けられた時、探索者はその”脱出ゲーム”から生還したと言えます。
罠や窮地には様々なバリエーションがありますが、このような生還はシナリオのゲーム性として取り入れられることでしょう。
⑧タイムリミット
限られた時間で探索を行わなくてはいけない時、探索者は効率のよい探索を行うために、的確な判断を行わなくてはなりません。このような展開はハラハラしますし、ゲーム性があると言えます。
タイムリミットは時間制限の場合もありますし、特定の条件(例えば、定期的に行われるPOTの抵抗ロールに指定した回数失敗した時など)の場合もあります。このようなタイムリミットを探索者に与える時は、探索可能な範囲や量に比べて制限時間が短くなり過ぎないように、配慮してあげるとよいでしょう。
⑨地図上の配置による気付き
「何所で何が起きたか」が重要な意味を持つミステリー作品は数多くあり、そのような要素を取り入れたシナリオも多数見受けられます。クトゥルフ神話TRPGを行う時に、行動範囲の地図を用意する方は多いと思いますが、その地図上の配置に何らかの意味を持たせると、口頭だけで行うゲームでは味わえない”気付き”を探索者に与える事ができます。
例えば、「事件の起きた場所がある記号を描いている」場合、その記号に則って次に事件が起きる場所が推測出来ます。このような謎解きは、推理ゲームとして成立する事でしょう。
⑩運試し
おみくじを引く時、何が出るのかワクワクしませんか。このような運試しは、”運ゲー”として成立します。そもそもダイスロールを求めるTRPGは、総じて運試しゲームと言えるかもしれません。
ただ、運試しゲームは時に残酷で、人を苛立たせます。特に事前の情報もなく、唐突な運試しゲームを強制されて探索者をロストしてしまった時など、それを悲しむ人はとても多いと思います。運試しを行う時は、事前にそのことを暗示して回避する手段を用意しておくか、その成否が探索者の生死に影響しないように気を付けるなど、一定の配慮をすることをお勧めします。
最後に
上記では、シナリオの”ゲーム性”に当たると思うものを列挙してみました。このような要素を取り入れて、シナリオをドキドキ、ワクワクするものに演出してみてください。今後とも、思いついたことがあれば追記していこうかと思います。