CoCシナリオ 作者:チョリ 耶話鳴えオリジナルシナリオ

畜生美少女

投稿日:2016年1月24日 更新日:

はじめに

  • このシナリオはクトゥルフ神話TRPGに対応したシナリオである。
  • 少人数用のシナリオで時間は3時間程度を想定。
  • シナリオの舞台設定は現代日本。
  • 探索者は探偵のキャラクターをプレイ。
  • 神話生物は登場しない。

シナリオの概略

 一年ほど前から、探索者の住む街の周辺では失踪事件が多発するようになった。そんな折、探索者の探偵事務所にとある夫婦が訪れ依頼を申し出る。依頼内容は行方不明になっている夫婦の娘の捜索である。

 娘の名は「宮永京子」。行方不明となった親友を探していたそうだが、彼女もまた行方不明となってしまった。

 探索者は捜索を進める中で、行方不明者にある共通点を見出していく。また、探索者は、1年ほど前から街に現れるようになった美しい少女の噂を耳にする。

 捜索を進める事で、少女の行っていた残虐な儀式について知ることになるだろう。探索者は、「宮永京子」の行方を突き止め、少女の凶行を止める事が出来るだろうか?

シナリオの背景

 このシナリオの黒幕は、莫大な遺産を親から引き継いだ「黒田安行」という無職の男である。「黒田安行」は親から甘やかされて育ち、子供のような思考を持った中年男性である。

<黒田安行 45歳>

STR11 CON8 POW2 DEX9 APP3 SIZ12 INT8 EDU10 HP10 MP8 SAN0

ダメージボーナス:無し   

技能:パンチ50ダメージ1D3 ナイフ30 ダメージ1D4+2

技能:変装95 オカルト75 コンピューター30 心理学50 医学35

 「黒田安行」は子供の頃から、自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。彼の醜い容姿は他人を遠ざけ、彼の性格は次第に歪んでいった。そんな彼がのめり込むようになったのは、ドラマや映画、漫画やアニメに登場する美少女である。

 彼はそうした美少女達に、嫉妬に似た気持ちを抱いていた。それは愛し合いたい欲求ではなく、自分自身がそうした美少女になりたいという欲求であった。美しくなることで、他人に受け入れられると考えた為である。

 そんな折、両親の事故死により莫大な遺産を手に入れた彼は、とある貿易商人から数冊の本を手に入れる。

 その一つが(CONTROL SKIN)である。

※このシナリオにおいて(CONTROL SKIN)は、魔道書の項目の一つではなく(CONTROL SKIN)という魔術習得用の独立した本として扱う。

(CONTROL SKIN) 参照:クトゥルフ神話TRPG ルールブック P279

 外見を偽る目的で、呪文をかけるたびに、対象の体の一般的な部分の中の一つについて、皮膚を融合させ、折り曲げ、改ざんすることが出来る。呪文をかけるためには5MPと1D6正気度ポイントのコストがかかる。そして、対象の了承がない限り、対象のMPとの抵抗ロールとなる。体の一つの部分への呪文は、準備して実際に働かせるのに30分かかる。呪文の効果は最大1時間。永久的に変えるためには、頭、胴体、右腕、左腕、右足、左足それぞれ一つにつき5MP+1POW+1D6正気度ポイントの喪失が必要である。

 彼はこの本を利用して、自分自身を美少女に変身させる事を考える。しかし、彼一人のMPでは目的を達成するには足りなかった。そこで彼は手に入れた他の魔道書を参考に、他人(複数人)のMPを蓄積させた結晶を作り出す決心をする。

 生贄の条件は、彼が羨む美少女である事と行方不明になっても周囲の人間が理由付けしやすい精神病患者の人間である事だ。

 彼は精神科医を営む古い知人「野茂正樹」に相談し、金に物を言わせて精神病院に来る患者を拉致する計画に協力させる。具体的には以下の通り。

 ①「黒田安行」は野茂精神病院に来た患者を監視カメラの映像で確認する。めぼしい人間には「野茂正樹」に渡した呪いのかかった薬を用いて催眠をかける。

 ②催眠にかかった人間は深夜、町はずれにある人気のない防火貯水槽に行かなければならないという強迫観念に駆られるようになる。意思の強い人間でも、薬を飲んで一週間以内には防火貯水槽へと無意識に足を運んでしまう。

 ③夜、決まった時間になると防火貯水槽が薄く発光し、その中に飛び込む事で山中にある黒田邸地下にワープする。「決まった時間」はキーパーがプレイ進行に合わせて自由に決めて良い。

 (防火貯水槽には「黒田安行」によって魔術が施されている。防火貯水槽の底には魔法陣があるが濁っていて確認することは出来ない。)

 ※拉致された者の洗脳は、精神分析かダメージを与える事によって元に戻るが自然に回復はしない。

 黒田邸地下に着いた被害者は、じっと棒立ちになって生贄になるのを待ち続ける。「黒田安行」「野茂正樹」の簡単な命令に従う。

 黒田邸地下で儀式を行い、多数の犠牲のもとにMPの結晶を作り出す事に成功した彼は、全身に(CONTROL SKIN)の呪文をかけて美少女に生まれ変わる。しかしMPの結晶は1カ月程で貯蓄されたMPを使い果たしてしまう為、新たな生贄を定期的に補充する必要がある。

 (公式設定では一度永久的な(CONTROL SKIN)に成功すればその後MPを使う事は無いが、今回はシナリオの都合上MPを使用している事にする。彼の望む「美しさ」の為には、体の代謝に対応した定期的改ざんが必要なのでしょう。)

<葉月綾乃 (黒田安行が変身) 自称18歳>

STR 8 CON8 POW2 DEX8 APP18 SIZ12 INT8 EDU10 HP10 MP8 SAN0

ダメージボーナス:無し   

技能:パンチ50ダメージ1D3 ナイフ30 ダメージ1D4+2

技能:回避40 変装85 オカルト75 コンピューター30 心理学50 医学35

(ネックレスのような形でMPの結晶を身につけている。)

 彼は美少女になって街へと繰り出す。街の人々の憧れの眼差しは彼を満足させた。ちなみに声については訓練と喉の(CONTROL SKIN)によって女声を出せるようになっている。

 美しい彼は街の商工会議所に見込まれ、現在ではちょっとしたご当地アイドルのような扱いを受けるようになっている。評判は上々であり、ローカルテレビなどにも出演して知名度を伸ばしている。

 そんな中、「宮永京子」の親友「佐々木葵」が不眠症の治療の為、野茂精神病院を訪れた。「佐々木葵」は優れた容姿を持っていたが運動音痴で自分に自信が無く、よくいじめの対象とされており「宮永京子」にいつも助けられているような少女である。また、「葉月綾乃」の大ファンであり、握手会などにも参加していた。 「黒田安行」はイベントに毎回参加してくる「佐々木葵」に目をつけており、野茂精神病院を訪れた彼女をいつもの手順で拉致したのであった。

 (「黒田安行」は「葉月綾乃」として活動する際、自分は昔いじめられていたが努力して今の自分になったという事を強調している。「佐々木葵」がファンになったのは「葉月綾乃」のこうした主張に共感した為である。)

<宮永京子 17歳>

STR 10 CON11 POW13 DEX12 APP12 SIZ12 INT11 EDU11 HP12 MP13 SAN65

ダメージボーナス:無し   

技能:パンチ50 ダメージ1D3 説得60 忍び歩き50 目星70 聞き耳55 図書館50

<佐々木葵 17歳>

STR 6 CON8 POW9 DEX8 APP16 SIZ12 INT11 EDU11 HP10 MP9 SAN45

ダメージボーナス:無し   

技能:目星50 隠れる40 聞き耳45 図書館60

 親友の行方不明を知った「宮永京子」は、居ても立ってもいられず自身で捜索を開始する。彼女が着目したのは2つ。1つ目は「佐々木葵」が失踪した3日前に訪れた野茂精神病院。2つ目は「佐々木葵」が傾倒していた 「葉月綾乃」である。彼女は調査を進める中で、街で多発している失踪事件の被害者の多くが野茂精神病院の患者だという事を突き止めていた。また「葉月綾乃」については失踪事件の起こり始めた1年ほど前から現れるようになった点と、細かく調査した結果「葉月綾乃」の身元が不確かな点から不信感を抱くようになった。

 「宮永京子」は「葉月綾乃」のイベントに参加し、イベント終了後に「葉月綾乃」を尾行する事で黒田邸の場所を突き止める。そして「野茂正樹」が黒田邸へと現れた事で不信感を持っていた二つの点が重なり、確信を持った彼女は黒田邸内へと足を踏み入れてしまう。

 その際、不注意で彼らに尾行を気づかれ捕えられてしまった彼女は、「黒田安行」の(CONTROL SKIN)によって「佐々木葵」の目の前で醜い肉塊の化け物へと変えられてしまったのである。

 「黒田安行」は普段、捕えた少女の顔をズタズタに切り刻み、めちゃくちゃになった顔面を鏡で見せてやる事で少女の心を破壊する事を楽しみとしていたサディストだった。

 その彼にとって、友人を目の前で化け物に変えられてしまった「佐々木葵」の反応はとてつもない快楽となった。

 彼は「佐々木葵」の目の前で、肉塊となった「宮永京子」を拷問する事をしばらく楽しみとしていたのだが、次第に飽きてしまった。そろそろこいつらも生贄にして殺してしまおうか。そう考えた時に、ある別の趣向を思いついた。肉塊となった「宮永京子」に「佐々木葵」を殺させよう。

 「黒田安行」がこのアイデアを思いついた頃、探索者の下にとある夫婦が訪れていた。

シナリオへの導入

 夏の昼下がり、場所は探索者の営む探偵事務所。ラジオからは最近失踪事件が多発している事を伝えるニュースが流れている。午後一時、アポをとっていたとある夫婦が探偵事務所に訪れる。
 依頼内容は以下の通り。

  • 2日前、娘の「宮永京子」が行方をくらませてしまった。当然警察に届け出たが、現在多発している行方不明事件の多くは解決出来ておらず、信用しきれない。現に2日経っても何の進展も見られない。そこで、捜索の手を増やす為にあなたに協力して欲しい。
  • 「宮永京子」の写真。「宮永京子」の携帯、両親の携帯、実家の連絡先、住所(実家暮らし)などを手に入れる。
<情報>

  • 「宮永京子」は行方不明になった親友「佐々木葵」を探していた。
  • 「佐々木葵」の住所を手に入れる。

※SNS等で調査をしても、本人と思わしきアカウントは発見出来ない。

警察署

 警察署生活安全課で手に入る情報は以下の通り。

  • <宮永京子>は4日程前に訪れており、行方不明者について情報を集めていた。
  • この街では一年程前から行方不明者が増えている。一般的に行方不明の届けが出るのは老人が多いが今増えているのは若い女性の行方不明者ばかりである。
  • 最近に捜索願の出された人物のリストを見せてもらえる。<宮永京子><佐々木葵>も含まれる。(写真、名前、失踪時の服装、数は限られるが住所付きのものもある)
  • <信用>成功:行方不明者の多くが野茂精神病院に通っていた記録がある。
  • 警察も野茂精神病院について捜査しているが、なかなか進展しない。

以下、住所付きの行方不明者リスト。

  • 田中みゆき20歳:田中生花店の娘
  • 城田あや16歳:城田洋服店の娘
  • 斎藤きらめ12歳:斎藤古書店の娘

(リストの人物は適当で良いが探索しやすいように店の娘にする。減らしても良い。)

<アイデア>成功:行方不明者リストの写真を見ると、若い女性の行方不明者は一様に美人である事が分かる。APP13以上。

宮永家

 一般的な一戸建てに住んでいる。宮永両親に連絡すれば家に入れてもらえる。

 宮永京子の部屋にて分かる情報は以下の通り。(探索者の態度に応じて、あるいは難易度調整の為に<信用><説得>を条件にしても良い。)

  • 日記より、抜粋。

「大事な友達が行方不明になってしまった。葵は自分で行方をくらますような子じゃない。絶対に事件か何かに巻き込まれたんだと思う。葵は私が守らないと。」

「警察に行ったけど葵の事はなにも分かってないみたい。やっぱり私も自分で探さないとだめだ。早くしなくちゃ…。」

「やっぱりあの病院、怪しい。葵も行ってたみたいだし。他の人たちも…。」

「今日、葵の好きだった「葉月綾乃」ってアイドルが商店街で握手会やってた。一年位前から出てきたみたいだけど私はなんだか苦手だ。表情が固いっていうか。確かにかわいいけど。」

「葵の行ってた病院に行ってみた。先生はなんかやる気なさそうな人だった。仮病だからか追い払われちゃったけど。」

「やっぱり変だよね。過去の情報が全然出てこないって。」

<佐々木葵>と一緒に写った写真等が飾られている。

 近所で聞き込みをすれば、<宮永京子>はとても明るく元気な子だったが最近落ち込んでいるように見えた事。ひらひらとした服を良く着ていたのに、最近は山登りにでも行くかの様な服装をして出歩いていたとの目撃情報が得られる。

行方不明者の店

 行方不明者の店のいずれかは商店街にある事にする。

 話を聞けば、みんなおとなしくて良い子だった事が分かる。

<信用>成功:みんな野茂精神病院に通っていた事が分かる。理由はいじめ等によるものである。

 しかし、どの子も失踪するような子じゃなかったという証言が得られる。

 写真を見ると、いずれもAPP13以上の美少女だったという事が分かる。

 商店街を探索中にうわさが聞こえてくる。情報は以下の通り。(聞き耳無し)

  • 今日、「葉月綾乃」の握手会がそこの本屋で開かれるらしい。
  • 昔この商店街を仕切ってた黒田さんが亡くなってからずいぶん廃れた商店街になったけど、最近出てきた葉月ちゃんのおかげでだいぶ活気づいてきた。
  • 行方不明者が増えていて怖い。夜は一人で出歩かないようにしよう。
  • そういえば最近、女の子が深夜に一人で出歩いているのを見たことがあるよ。ああいうのが狙われるんじゃないかな。

 また、噂を聞いたあと商店街の本屋に行くと「葉月綾乃」と出会う。少女の周りにはたくさんのファンの男達がいる。テレビの取材等もいる。

 探索者が握手会に参加した場合、少女はとびきりの笑顔であいさつしてくる。

 彼女は首から青いクリスタルのネックレスを下げている。行方不明者の事を聞けば、「心配です。一人で歩くの怖いですね。」と答える。

<心理学>成功:嘘をついている事が分かる。

<目星>か<変装>か<医学>成功:彼女の動きが微妙に不自然である事と、彼女の表情の作り方に違和感を覚える。

佐々木家

 一般的な一戸建てに住んでいる。母親が家に居る。「宮永京子」の名前を出せば、家に入れてもらえる。

 母親から話を聞けば、以下の情報が手に入る。

  • 「佐々木葵」は「宮永京子」の事をとても慕っていた。
  • 「宮永京子」が「佐々木葵」の為に調査をしていた事も知っている。度々顔を出しては励ましてくれる彼女に、自分自身もとても救われていたと話す。彼女も行方不明となってしまい、悲しみに暮れている。
  • 「佐々木葵」は野茂精神病院に通っていた。
  • 佐々木家は「佐々木葵」が高校に入ると同時に今のこの街に引っ越してきた。
  • 「佐々木葵」は小~中学生の間ひどいいじめを受けていたが、高校に入って「宮永京子」と友達になる事でいじめは無くなり、以前に比べとても明るくなった。
  • コミュニケーションの上手くない「佐々木葵」を「宮永京子」がいつも助けてくれていた。
  • 最近は「葉月綾乃」というアイドルに夢中になっていた事が分かる。

<信用>か<説得>成功:「佐々木葵」の部屋に入る事が出来る。

 「佐々木葵」の部屋で手に入る情報は以下の通り。

  • 「宮永京子」と撮った写真が大事そうに机の上に飾られている。
  • 部屋にはアイドル「葉月綾乃」のポスターが貼られており、「葉月綾乃」の載った雑誌の切り抜きや「葉月綾乃」のCDなどもある。
  • 日記より、抜粋。

「京子ちゃんのお陰で、最近は街に出られるようになってきた。まだ一人で出歩くのは、中学の頃の○○さんや××さんとばったり出くわしてしまいそうで怖いけど、京子ちゃんと一緒なら、平気。」

「今度の握手会、京子ちゃんは一緒に来てくれるかな。あんまりああいうのは好きじゃなさそうだけど。」

「葉月さんと握手できた!すごい!なんだか他の人より長く握手してもらえたしお話出来た気がする。」

「今日○○さんに会ってしまった。京子ちゃんと別れて一人の時にばったり…。考えたくない。考えないようにしなきゃ。」

「うまく寝付けない日が続いてる…。また病院で薬貰わないと。」

野茂精神病院

 入院設備等は整っていない町はずれの小さく汚い診療所である。野茂は長身でけだるそうな医者だ。

 診察を受ける形で入った場合、普通に診察が始まる。

<目星>成功:監視カメラがある事に気づく。追求しても、患者さんの治療の参考の為とはぐらかされる。

 探索者が女性でAPP13以上ならば、「あなたの症状はまだ軽いものだが、診察の結果、進行性の神経症のようだ。この薬を晩御飯の後に服用なさい。」と薬を渡す。

<目星>か<心理学>成功:彼がこの仕事を完全に適当にやっていることが分かる

<アイデア>成功:この仕事以外に金のアテがあるのではないかと推測できる。

 「佐々木葵」の話題を出すなら、確かに来ていたと話す。次の予約も入っていたのに来なくなってしまった。心配だと話す。

<心理学>成功:彼が心配などしていない事が分かる。また、何かを隠している事が分かる。

 「宮永京子」の話題を出しても、特に覚えていない。

 詰問した場合:何もしていない、帰ってくれと言われるだけ。

<心理学>成功:何かを隠している事が分かる。

 帰りがけ、10代位の茶髪の少女とぶつかる。彼女は謝ってすぐに診察室に入っていってしまう。

<野茂正樹 42歳>

STR 10 CON8 POW12 DEX10 APP11 SIZ17 INT14 EDU18 HP13 MP12 SAN0

ダメージボーナス:無し   

技能:パンチ50ダメージ1D3

 午後11時以降に野茂精神病院に潜入する場合、野茂は不在である。病院はカギがかかっている。

 診察室のデスクにはパソコンがあり、パスワードはかかっていない。パソコンを起動すると、シャットダウン時の設定が立ち上がり、メーラーが開かれる。以下の情報が手に入る。

 宛先:黒田安行

 件名:追加で2人送りました。

 本文:1人、500万です。お願いいたします。

 また、患者の名前のリストがあり、クリックすると患者の診察中の映像を見る事が出来る。

<アイデア>:患者の名前のリストには、行方不明者の名前がいくつも見受けられる。

 これらの情報を手に入れて詰問しても、彼は患者の治療の為の一点張りである。不都合があれば追い出そうとする。

夜の商店街

 商店街で噂を聞いた後、夜に探索をすると少女が1人で歩いているのを見かける。(<目星>は振らない。どこを歩いていても良い。)

 近づくと精神病院でぶつかった少女だと分かる。彼女はふらふらとした足取りでどこかへ向かっており、探索者の言葉は届かない。力づくで止めれば止まるし、精神分析か殴れば正気に戻る。

 その場合、正気に戻る直前にうわごとのように「防火貯水槽…あそこにいかなきゃ…」と言うのを聞きとれる。(彼女のAPPは14。)

 そのまま向かわせた場合、彼女は防火貯水槽に辿り着く。

 それは人気の無い場所にある、忘れ去られたような防火貯水槽で、周囲には苔やツタが茂っている。不思議な事に、防火貯水槽の水面は周囲に街灯もないのに淡く青く光っている。その光を見つめるとなんだか吸い込まれてしまいそうな不安感に襲われる。

<目星>成功:貯水槽のそばにローファーが一足落ちている事に気づく。ローファーには名前が入っており、「佐々木葵」と書かれている。

 病院でぶつかった茶髪の少女は柵をよじ登って水面に飛び込む。しかし彼女の体は水面に触れるやいなや消えてしまい、水面には波紋の一つも残らない。<SANチェック 1/1D3>

 探索者がそのまま飛び込むと視界は真っ白に染まり、気が着くと倉庫のような場所にいる事に気づく。

 薄暗く電球が照らす中、周囲には数名の少女がおり、みな整列してただ突っ立っている。見ると、先ほどの茶髪の少女もその列に加わっている。

 他にも、警察署で見た行方不明者のリストにあった顔ぶれが何人か見受けられる。

<聞き耳×2>成功:倉庫の外から足音が近づいてくるのを聞きとる。

 非常にごちゃごちゃとした倉庫の為、<隠れる>場合は2倍の値で振っても良い。

 扉が開き、「野茂正樹」が倉庫に入ってくる。彼は整列した少女達をしばらく眺めたあと、2~3名についてくるように命じ、彼女達と部屋から出ていく。

 「野茂正樹」が探索者に気づくか探索者が攻撃しようとした場合、「野茂正樹」はすぐに走って逃げてしまう。地の利は「野茂正樹」にある為、追う為には<追跡>が必要になる。

<追跡>成功:「野茂正樹」は扉を開けて右手に走り階段を上った後、玄関から先へと逃げた事が分かる。

 玄関の先は鬱蒼とした森となっており、夜である事もあって追いつく事は不可能である。

 (「野茂正樹」は患者を引き渡す事で金を得ていたと同時に、捕えた少女を殺さない範囲で自由にする権利を「黒田安行」から与えられていた。ここに来たのはその品定めの為である。)

 部屋を出ると廊下があり、廊下に面したドアが二つと階段が見える。

 廊下に出ると同時に奥のドアから女性の悲鳴が聞こえてくる。

<SANチェック 1/1D3>

 階段を上った場合:木造の邸宅の中に出る。窓を見ると森の中にある家のようだ。自分が地下から上がってきたのだと気づく。とても大きな家で、家具なども立派なものだが埃を被っている。観葉植物もあるがどれも枯れてしまっている。

 奥の部屋に明かりがついている。明かりのついている部屋に入ると壁一面に張られた美少女のポスターや、足の踏み場も無い程散乱した漫画やDVD、食べ散らかしたカップめんの容器や弁当の容器が見つかる。

 悲鳴の聞こえなかった部屋に入った場合:各種拷問器具がところ狭しと壁に飾られている。サーベルやナイフ等の武器もある。これは黒田が拉致した被害者をいたぶって楽しむ為に用意したものだ。主に顔面をぐちゃぐちゃにする用途に用いられる。(その為、爆弾等は無い)

 探索者用の武器庫である。

 また、机があり、その上には古めかしい本と女性もののポーチが置いてある。

 古めかしい本には(CONTROL SKIN)と書かれている。とても分厚い本で、読むのに1D6カ月かかる。

 ※英語で書かれている。

 本の表紙を見たあたりで、再び女性の悲鳴が聞こえてくる。

<SANチェック 1/1D3>

 序文を読めば、皮膚の形をコントロール出来る魔術について書かれた書物だと分かる。

 ポーチを見ると、財布と手帳が入っている。

 財布を調べると、免許証が入っており「黒田安行」という男性のものだと分かる。写真には非常にグロテスクな顔の男が写っている。有効期限はとうの昔に過ぎている。

 手帳を調べると下記の情報が手に入る。

  • 日記より、抜粋

「ようやく一定数集まった。今回は危なかった。あと少し生贄が遅れればまた元に戻ってしまうところだった。次回以降はもう少し時間に余裕を見て野茂に用意させよう。更に何人か予備の生贄を用意するのも検討しよう。」

「前にイベントで気になっていた子だ。手に入ってうれしい。」

「こうした形で身につけておくのはかなり不用心かもしれないが、努力の結晶をこうして身につけておくのは気持ちが良い。ポケットだと何かの拍子に落してしまうかもしれないし…。割れてしまったら努力が水の泡だ。」

 

 悲鳴の聞こえた部屋に入った場合:薄暗い部屋の中央には真っ赤な魔法陣が描かれている。魔法陣の周囲には無数の死体が転がっており、みな誰だかわからない程顔面を切り刻まれているようだ。死臭と精液の臭いの入り混じった不快な空間の中、中央にあるベッドには写真で見た「佐々木葵」が横たわったまま縛り付けられて泣き叫んでおり、そのそばで、「葉月綾乃」が部屋の奥を見てへたりこんでいる。部屋の奥には、人型をした醜い肉塊が体中から血液を滴らせ、体を上下に震わせている。

<SANチェック 2/1D3+1>

戦闘

 「佐々木葵」は、探索者が部屋に入るのを見るや否やその絶叫をさらに高くして「逃げて!逃げて!」と叫ぶ。

 次の瞬間、肉塊が大きく蠢いたかと思うとその体を大きく震わせて、槍のような形に変形した腕が探索者を貫かんと伸びてくる。その肉槍は探索者を掠めたかと思うと、その背後の壁に大きな穴を穿った。

 ※(CONTROL SKIN)の公式設定ではここまでの事は出来ないが、このシナリオにおいては割と自由に解釈して扱う。

 「葉月綾乃」はその様子をへたりこんだまま見ている。

 探索者が肉塊に攻撃を加えようとした場合、「佐々木葵」は「止めて!逃げて!逃げて!」と泣き叫び懇願する。

 肉塊の攻撃 肉槍での刺突25 ダメージ1D6+2 

 ちなみにこの攻撃は「葉月綾乃」が(CONTROL SKIN)によって肉塊となった「宮永京子」の体を変形させて行うものである為、「葉月綾乃」が気絶するなどすれば肉塊は攻撃してこない。

 肉塊のHPは12。装甲2。

エンディングA

 条件 肉塊を殺さずに、「葉月綾乃」のネックレスを破壊あるいは「葉月綾乃」の無力化。

 (ネックレスは耐久力1。ガラスの様な素材。)

 ネックレスへ攻撃を加えようとした場合、「葉月綾乃」は回避を行う。同時に、肉塊は肉で作った槍で出口を破壊する。

 ネックレスを破壊:ネックレスは一瞬大きく発光したかと思うと、粉々に砕け散る。その瞬間、「葉月綾乃」が絶叫してひざまづく。

 葉月の体中の皮膚に、蓮ように小さな穴がぶつぶつと無数に開き始める。穴からは煙が吹き出して次第に伸縮していく。穴の内側に折りたたまれていた余った皮膚がめきめきと音を立てながら葉月の顔をゆがめ、着ていた衣服は膨張した体にびりびりに引き裂かれていく、そして、ゆがんだまま変化が止まった。今、目の前にひざまづいているのは、豚のような醜い男である。

 先に「黒田安行」の免許証を確認していた場合、免許証の男の写真に良く似ている事に気づく。

<SANチェック 2/2D3+1>

 肉塊もまた体中に蓮の様な小さな穴が無数に開き始め、穴の内側へと肉が収縮されてゆく。皮膚がところどころ歪んではいるものの、その姿は写真で見た「宮永京子」に間違い無かった。「宮永京子」は気絶する。

 「黒田安行」はわめき散らし、怒声とともにナイフで探索者に切りかかる。

 完全に発狂している為、全ての技能値を-10して戦闘する。

 「黒田安行」を殺すか気絶させられればシナリオクリアとなる。

 「佐々木葵」は解放されるとすぐに「宮永京子」の下に駆け寄り、警察がくるまでずっとその傍で泣きながら謝りつづける。

 警察に連絡をするなら、「黒田安行」と「野茂正樹」はすぐに逮捕される。探索者の正当防衛が認められる。

 生き残った拉致された少女達はみな無事に帰される。

<ボーナス>

 「宮永京子」「佐々木葵」を生きて脱出させる事が出来れば一人につき1D10の正気度回復。

 「黒田安行」を倒すか気絶させる事が出来れば1D6の正気度回復。
 
<気づかない探索者用お助けイベント>

 ※出しても出さなくても良い。

 「宮永京子」のHPは12。装甲2。

 「佐々木葵」は肉塊に攻撃を加える度にその絶叫の度合いを増してベッドを動かさんばかりに暴れるが、  「宮永京子」のHPが5を切った時点で自力でその緊縛を解く。

 「佐々木葵」は探索者に<組みつき>を行う。自動成功。「佐々木葵」のSTRは6。

 その場合、「葉月綾乃」は探索者にナイフで攻撃を加える。

 探索者が「宮永京子」に攻撃を加える限り、何度振りほどかれても<組みつき>し続ける。

エンディングB

 条件「宮永京子」の殺害

 肉塊のHPを削り切ると、肉塊の体中に蓮の様な小さな穴が無数に開き始め、煙が吹き出す。穴の内側へと肉が収縮されてゆく。変化が止まった時そこにいるのは、皮膚がところどころ歪んではいるものの、その姿は写真で見た「宮永京子」に間違い無かった。

<SANチェック 3/2D3+1>

 その様子を見ていた探索者の背後から「葉月綾乃」がナイフを突き刺してくる。自動成功。

 ダメージ1D4+2

 「佐々木葵」は絶叫して暴れるが緊縛が解ける事はない。

 その後、「葉月綾乃」を倒した場合:葉月の体中の皮膚に、蓮ように小さな穴がぶつぶつと無数に開き始める。穴からは煙が吹き出して次第に伸縮していく。穴の内側に折りたたまれていた余った皮膚がめきめきと音を立てながら葉月の顔をゆがめ、着ていた衣服は膨張した体にびりびりに引き裂かれていく、そして、ゆがんだまま変化が止まった。

 目の前にひざまづいているのは、豚のような醜い男である。

 先に「黒田安行」の免許証を確認していた場合、免許証の男の写真に良く似ている事に気づく。

 「佐々木葵」は解放されるとすぐに「宮永京子」の下に駆け寄り、警察がくるまでずっとその傍で泣きながら謝りつづける。

 警察に連絡をするなら、「黒田安行」と「野茂正樹」はすぐに逮捕される。探索者の正当防衛が認められる。

 生き残った拉致された少女達はみな無事に帰される。

<ボーナス>

 「佐々木葵」を生きて脱出させる事が出来れば一人につき1D10の正気度回復。

 「黒田安行」を倒すか気絶させる事が出来れば1D6の正気度回復。

バッドエンド

 条件:肉塊の攻撃で探索者のHPが削られるなどして、キーパーがクリア不可能と判断した場合。

 肉塊の攻撃 Y字の肉槍99

 探索者の首目がけて放たれた肉槍は探索者の目の前でY字に別れ探索者の首を壁に縫い付けた。

 「葉月綾乃」は笑いながらその様子を見ている。

 そして肉塊に命令する。

 「宮永、続きだ」

 その声は男性の声色だった。

 肉塊はふらふらとベッドに縛り付けられた「佐々木葵」へと近寄っていく。その様子はどこか自分の意思に反して動く体を止めようとしているように見えた。

 「佐々木葵」は泣き叫ぶのを止め、静かに肉塊を見上げている。

 「佐々木葵」がぽつりと「ごめんね」とつぶやいた瞬間に肉塊は彼女の体を両断していた。

 ぶるぶると痙攣したように震えている肉塊を見て「葉月綾乃」はひとしきり満足そうに笑った後、探索者に向き直る。

 探索者に向けてにこりとピースサインをしたかと思うと、鋏のようにちょきんと閉じた。

 探索者に見えたのはそこまでだった。

-CoCシナリオ, 作者:チョリ, 耶話鳴えオリジナルシナリオ

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耶話鳴く夜 Type-Writer

目次1 はじめに1.1 シナリオの概要と背景1.2 探索者について2 シナリオ 導入パート2.1 導入:目を覚ますと3 シナリオ 探索パート3.1 タイプライターについて3.2 人形について3.3 暗 …

最果てのレイル

目次1 はじめに1.1 シナリオの概要1.2 シナリオの背景2 シナリオを始めるにあたって2.1 探索者について2.2 登場人物(NPC)について2.3 別途資料一覧3 シナリオ 導入パート3.1 導 …

オペラ座の怪人

目次1 はじめに1.1 シナリオの概要1.2 シナリオの背景2 シナリオを始めるにあたって2.1 探索者について2.2 登場人物(NPC)について2.3 別途資料一覧3 シナリオ 導入パート3.1 導 …

耶話鳴え

 耶話鳴え(やわなえ)、それは良さ気な響きにそれっぽい漢字を当て嵌めただけの意味のない言葉――
 大人になりきれない社会人二人が、無駄に製作してきたシナリオたちを無意味に大公開。皆様も一緒に混沌としたクトゥルフ神話TRPGを楽しみましょう!

アイトネ スタジオ
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